モキュメンタリー

黒澤司(YAOYOROS、世界ヒッチハイク部、武蔵野航空警備隊)

2018年12月4日(火)晴れ

壁紙を引っ剥がしたかのように季節は変わった、と思っていたが、今日はとても暖かい一日だった。

労働後、近所の図書館に行って、適当に本棚から詩集をひっこ抜いて読む。

久しぶりに読んだ立原道造はとても優しく、少し泣きそうになった。途中でうとうとしながらもすべて読み終えると、すっかり閉館時間で、門番の警備員が怪訝そうな顔で俺をみつめていた。

ありがとうございました、とお礼を言って外に出ると、生ぬるい風がピューピュー吹いている。

コンビニでけんちんうどんを買って井之頭公園へ。

暖かいからか、わりと人は多く、若者たちが酒を飲んでキャッキャしていたり、男女が暗闇に隠れてクネクネしたりしていた。

ぷらぷらしながらベストポジションを探していると、妙な気候でおかしくなったのか、奇声を上げている男もいた。

なんとかベストポジションを見つけて、けんちんうどん、食いながら、謎の虫の歌声を聴いたり、風で揺れる木々のダンスを見たり、鼻からスースー空気を吸ったりしていた。

ぼんやりと新しい歌のことを考える。

退屈だったけど、今俺が忘れていたことは、こういった、一人で世界と遊ぶ時間なんだと思って、妙に納得した。

しばらく、けんちんうどんを眺めて、景色をすすっていると、微かに雨の匂いがしてきたので、急いでマンションに帰った。